自然環境を整備すれば特Aクラスの作物が楽々作れるようになる!
10月は暦の上では晩秋である。でも、まだまだ暑さが残っている。収穫の最盛期でもある。農業は人類の歴史上、最も古い職業である。生きていくためには食べなくてはいけないからである。約一万年前に農業革命が起こったと言われている。革命は一万年経っても完成していないのである。とてつもなく奥が深い。それが農業のおもしろさなのである。
農業ほどいろいろな知識を必要とする職業はない。他の職業は農業に比較したら屁みたいなものである。植物学・生物学・昆虫学・地質学・化学・気象学・栄養学・自然科学の中でも、とりわけ重要な学問ばかりが要求される。でも、これを学んで農業をしている人は限りなく0に近い。
学問をやったら農業が上手になるかというと、そうではないところが、またおもしろいのである。農業は自然科学を学習するというよりも利用するのである。基本さえ知っていれば利用できる。基本とは何かと言ったら、それは法則である。自然というのは必ず規則正しい因果関係で成立している。春・夏・秋・冬の順番が変わることはないのである。ところが、これを無視する、有機肥料を10アールに100tも入れたら、おいしい作物ができるのではと考える。100tもの有機肥料を入れたら、土の中はどうなるのか。有機肥料に含まれた微生物が一斉に活動を始める。大量の酸素が消費される。土の中はアッという間に酸欠になる。酸素がなくても生きられる悪い菌だけが大繁殖をするようになる。
「根腐れや立ち枯れが多くて困ったよ」それなら、排水をチェックしてみるべきである。耕し方もチェックが必要だ。与えた水や降った水が土の中でどうなっているのか。下の方で淀んでいれば水は腐る。そこから悪い菌が繁殖する。プラスチックに入れた水は腐りにくい。周囲に栄養分がないからである。ところが土の中はどうだ。たくさんの生き物が動いている世界だ。糞もすれば排尿もする。栄養の塊である。しかも温度がある。腐るのは驚くほど早い。一度、腐り始めると次から次へ腐っていく。カビの原因にもなる。
都合の悪いことに土の中の事は人間には見えない。見る習慣もない。土壌病やカビが出てから大騒ぎをする。肝心の排水には何も手をつけない。原因はそのままにして、出てきた病気にだけ対処をする。これで解決になるのだろうか。
朝日が当たらない、西日がきつい、周囲は小高い山があって雑草が生い茂っている、さらに悪いことに窪地になっていて、雨が降ったらどこからでも水が入り込んできてしまう。そこにハウスを建てて、野菜を栽培した。これは成功するだろうか。「そんな馬鹿なことをやる奴はいないよ」ところがいる。施設のハウスは建売りが多い。人が作ったものを買うのである。施設を作った人は自分で農業をするわけではない。作った施設が売れればいいのである。その後がどうなろうとも知ったことではないのである。そんな施設を高額のお金を出して購入する人が実に多いのである。農業する条件を完全に無視している。
あまりにも当り前のことだが、農作物は自然の中で育つのである。自然環境が悪いのに良い農作物が作れるわけがない。農作物を育てるということは自然環境を整備することに尽きるのである。それが基本なのである。
10月は土の状態をチェックする月なのである。冬作に入るにしても、春・夏に畑を空にしている人は少ない。何かの収穫をして冬に向かっているはずである。イチゴだって春・夏を何らかの形ですごしている。植物にとっては夏が一番、厳しい季節なのである。その春と夏をすごして、どんな結果が出されたのかを書き出してみるのである。本当は10月だけでなく冬・春・夏・秋の季節が終わるごとにやってみるとさらによく理解ができるようになる。A3ぐらいの大きな紙を出してきて、とにかく思いつくままに書いてみる。書き出したものを見てみると必ず、ひらめくことがある。見ているだけで、勝手にひらめくのである。ウソだと思っているならやってみてほしい。何も感じない人はいないはずだ。
人間はすべてのことを感じようと思えば、感じられるように創られている。動物とは違うのである。その感じることはかなりの確率で的中している。それは畑そのものが証明してくれる。感じたことを現場の畑に行って照合してみればいいだけなのである。
このチェックを怠ると来年、また同じ失敗をくり返すことになる。病虫害でも土壌消毒でも、翌年はさらに症状は悪化してしまう。チェックを入れたら対策である。対策もこの時期がいい。春までに4ヶ月もあるからである。相当、思い切ったことができる。対策とは自然環境の整備である。これを忘れないでほしい。もしも立地条件が悪かったら新しい土地を探すのも対策なのである。
緑肥を使うことも対策である。暗渠の設備をするのも対策である。玄米アミノ酸のぼかしを投入するのも対策である。礼肥をするのも対策である。周囲の雑草を減らすのも対策である。風通しを良くするのも対策である。
自然環境は人間が手を加えることで、いくらでも豊かにしていくことができる。人間には自然を変えることができる力が与えられているのである。農業は自然環境の頂点にある仕事と言っても間違いがないだろうと思う。だから限りなくおもしろさは尽きないのである。
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