牛乳1リットル1050円で売っても赤字!そんな馬鹿な…
「想いやり牛乳」というのを聞いたことがあるだろうか。北海道の中央にある十勝で作られている。1リットルで1050円もする。牛乳1本が1050円と聞くと驚くだろう。
この牛乳はただの牛乳ではない。日本で唯一の殺菌してない牛乳なのである。牛乳は多少とも雑菌を含んでいるので熱処理殺菌をしなくてはいけない。しかし「想いやり牛乳」は雑菌0なのである。熱処理なしで、そのまま飲める牛乳として販売が認められたのである。
牛に対する扱い方が他の牧場とすべてが違う。牛を管理しているのは男性ではなく女性である。牛に一切のストレスを与えない。すべて牛の都合にまかせて仕事をする。牛舎に敷かれるものは稲わらやオガクズではなく砂である。乳首から雑菌が入らないようにしている。エサも違う。牧草だけである。
同業者に言わせると1リットル1050円でも安いというのである。1リットルが一万円でも、そもそもそんな牛乳は作れないというのである。まさに牛乳の大発明である。誰でも飲んでみたいと思うだろう。
「それじゃ商売は大成功して儲かって仕方ないよね」と思うであろう。実は毎月赤字なのである。ウッソーだよね。まず1リットル1050円で買ってくれるお客さんが少ない。牛に無理をさせないために生産量が限られている。手間が思いっきりかかる。

この話を紹介したのはみなさんの身近でも似たような事が起きているからである。明らかに凄い発明に近いような農産物を作っても高く売れない。他と比較されてしまうのである。解決する方法は一つだけある。まず1リットル1050円を3150円に値上げする。1050円でも売れないのにと思うだろう。スーパーやデパートへ卸すのではなく、お客様に直接販売する。
1リットル3150円でも欲しいというお客様だけに販売するのである。青森の木村さんの無農薬のりんごはこのようにして成功したのである。
いいものを作ったから売れるのではないのである。売り方も作り方も同じくらい学習をする必要がある。どんなにいいものを作っても売り方が間違ってしまえば利益は出ない。

もう一つ大きな問題がある。「想いやり牛乳」を作った人は牛の事も考えていたら自然にそうなったと事もなげに言うのである。自分が作った商品の価値を知らない。人間国宝に値するような仕事をしていながらである。謙虚でいいという話ではない。これでは他との差別にならない。日本で唯一というのはどれだけ凄いか見当がつかないのである。一人よがりの自慢も困ったものだけれど、客観的に商品価値がわからないのもダメなのである。
欠けているのは「お客様」から見たらどう見られているかという一点に尽きる。この感覚を是非、育ててほしいのである。



