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全面マルチは早くて3年で畑がダメになる

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全面マルチは早くて3年で畑がダメになる

 「マルチ」という言葉が使われ始めたのは、ごく最近である。農業の歴史からいうと近年と言った方がいいかもしれない。マルチという言葉が使われる以前からマルチはやっていた。人間の知恵である。稲わら、麦わら、野草を使って、やっていたのである。雑草防止、地温上昇、水分の蒸発防止、ポリマルチと目的は一緒である。もちろん使用後、そのまま畑の土にまぜる。微生物は繁殖するし、若干の肥料にもなるし、栄養成分の分解にも役立つ。いい事づくめである。

 これがポリマルチに変わってから何かがおかしくなってしまった。役に立つ反面、問題も出てきたのである。しかも便利さを重視するあまり問題の大きさにまったく気がつかない。問題はさらに大きくなる。

 マルチはどういう目的で使用されるのだろうか。?地温をあげる。または下げる?土壌に含まれる水分の蒸散を防ぐ?雑草の防止をする?作物の汚れ、腐れを防ぐ?降雨後の肥
料流れを防止する?害虫を防ぐ?果樹の場合、光の乱反射で色づきをよくする。

 マルチといわれるぐらいだから多くのメリットがある。使い勝手に実にいいものなのである。

 それではポリ塩化ビニールのマルチの種類はどんなものがあるだろうか。
?透明ポリマルチ
? 黒ポリマルチ
?白と黒が裏表になっているダブルマルチ
?シルバーマルチ
?透明とクロン組み合わせのマルチ
?紙マルチ
? 生分解マルチ

 それぞれに特性がある。
?の透明マルチは太陽光を通して地温をあげる。昼で20℃〜70℃、夜で20℃上昇する。このようにすると出荷が早められる。春先に出荷作物に利用価値が高い。

?黒マルチ。光を通さないので地温は上昇しない。雑草は生えない。

?白・黒のダブルマルチは温度があがりすぎる時、白を外側に向けて使う。土壌の温度を下げるのである。

?シルバーマルチ。夏期の地温上昇しすぎるのを防ぐ。害虫防止。光の乱反射で着色をよくする。

 マルチをする目的と種類の特性を見てきた。次にポリマルチの問題、つまり害を考えてみたい。露地での全面マルチは施設栽培と同じ状況になる。土壌に含まれる水分に動きがなくなる。残留肥料、残留石灰が逆効果になる。肥料の分解が遅くなる。ペーハーが上昇しすぎ、下がらないようになる。窒素が亜硝酸に変化して害になる。

 土の中に濯水チューブが入っていないために水分の補給がうまくいかない。肥料がききにくくなる。一番の問逢は換気である。施設栽培の場合は天井をあけて換気する。悪い空気を逃してやる。しかし全面マルチでは悪い空気が出てくる所に作物があるという最悪の結果になる。換気とともに悪い水分も出水も蒸散する。土壌にある悪いものすべてが出てくる所に作物がある。これはどう考えても自然の法則に一致していない。

 さらに害はある。下から塩素が集積して濃度障害をひきおこす。畑は早いもので3年。遅いものでも10年でダメになる。この現象は大型野菜産地によく見られる。熊本、宮崎、茨城、千葉などである。

 この背景には生産者の悪いクセが二つある。肥料はたくさん入れれば入れるほど収穫があがるという考えである。もう一つは早出しすればお金になるという考えである。昔はそういう時もあったかもしれない。しかし現在は少し状況が変化している。消費者が求めているものは量でなく質である。早出しも輸入野菜が多くなり、メリットは少なくなった。この変化にまったく対応していないのである。これでは農作貧乏は当然の結果である。しかも大切な畑まで失ってしまう。利益の取りようがないのである。ポリマルチは便利さの背後に大きな問題がある事を忘れてほしくないのである。

 では対策はどのようにすればいいのだろうか!基本は土壌作りをしっかりとやる事である。雑草が出てこないような土壌を作るのである。地温が自然に温度調整できるように微生物を繁殖させる事である。

? 自然のマルチを努めて活用する。麦わら、稲わら、野草などを使う。物理的には大変かもしれないが、年に1回やればいい作業である。準備をして効率よくやれる工夫をしてほしいと思う。

? 転作をする。水田に転作できる所は水田にして水の力で洗浄する

? 緑肥を使う。麦やレンゲなどの緑肥を植えて、すきこみする。土壌の生分解が活発になり改良ができる。

 農業は自然との共生である。自然に逆らって・収益は出ないのである。ポリマルチには良い所もたくさんある。しかし欠点も同じくらいある。欠点をそのままにしておくと最後は畑地の放棄になる。これは大きな損失である。そうなる前に対策を立てましょう。大型産地のマルチだけでなく小規模生産でも同じ問題があると知ってほしい。短期間で問題になるか、少し長期間になるかの遣いだけである。

 資材の欠点を知る事は非常に重要である。そこに、工夫をすれば最高の長所になるからである。それこそが枝術である。